【映画】『顔(イェン)さんの仕事』、東京初日を観られなかったけど、ブログを書く。

 …本来であれば、今関あきよし監督のドキュメンタリー映画『顔(イェン)さんの仕事』の東京初日上映と舞台挨拶を観て(2024年8月31日)ブログを書こうと思っていたのですが、台風10号の日本上陸により、東京方面への交通手段がなくなったことにより、映画を観ずにブログを書くことにしました。

 東京の上映は1周間限定の予定であり、少しでも観客動員の足しになればという思いですので、ご興味のある方はぜひ2024年9月6日(金)「好評につき、2024年9月13日(金)まで」新宿Ksシネマでの上映をお見逃しなく。

 その後、全国各地で上映予定ですので、公式ホームページをご確認ください。

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 映画『顔さんの仕事』は、台湾の国宝級絵師、顔振発(イェン・ジェンファ)氏を追ったドキュメンタリー映画。


 …というくだりは、 公式ホームページやパンフレット、なんなら中華民国文化部(文部科学省に相当)の文化人紹介ホームページに掲載されている。しかも文章もどこか似ている。おそらく、見解のブレがないように参考にしたのだろう。

 というところで、割愛する。


■■この「タイミング」だからこそ撮れるドキュメンタリーを撮った今関監督■■

 舞台は台南。
 台南の映画館「全美戯院」といえば、中華系エンタメに触れる者にとっては、手描き看板あるノスタルジックな映画館として予備知識程度はあるくらい知られている。その絵看板を一手に引き受けているのが顔氏である。

 今年、台南は「台南400」を迎えている。
 1624年、オランダ人により貿易拠点が設置されてから400年、様々な文化行事や観光キャンペーンが行われている。街として、大きな変化と節目を迎えていることになる。キャンペーンにはラッパーの大支が起用され、ミュージックビデオも公開されるなど、その規模は大々的だ。


 しかし、この時期は決して台湾映画にとっては良い節目ではなかった。
 C-popのような盛り上がりにはならなかった環境がある。
 これは映画が撮り終えた「後日談」的なものではある。
 しかし、この映画が撮られた「タイミング」としては非常に重要なものだ。

 同じく台南。中影系の映画館「真善美戯院」が2024年8月に閉館し、台湾での映画文化・産業の衰退を図らずとも迎えてしまっていた。「真善美戯院」はデジタル上映施設も充実した新しい映画館であるにもかかわらず、だ。
 今関監督のカメラはそんな時期の台南を映している。こうした台湾映画界隈の「明」「暗」が混在するタイミングの時期だからこそ、フィルムに残す意義があるのだろう。それは、顔氏が看板を描いている、旧い「全美戯院」の映画経営者が画面に登場し語った決意にもつながるものがある。

 時期を同じくして、2024年、顔氏は台北電影節で卓越貢献賞を受賞した。
 このタイミングも、この映画の意義を高めるものにしただろう。
 図ったもの、図らなかったもの、双方のタイミングが、この映画には重なっている。


(2024年、台北電影節の卓越貢献賞を受賞した際の記念動画)


 約60分のドキュメンタリーを、台湾人ではなく日本人の映画監督が撮影したことに、人々はどんな評価をするのだろう。個人的には、願わくば、金馬奨ドキュメンタリー部門で、今関監督や制作に携わった先輩S氏が喜ぶ姿を見たいのだが。

 そんなタイミングを、この映画は用意してくれないだろうか。


(今関あきよし監督、『顔さんの仕事』に関する公式動画インタビュー)


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